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「アファンの森」での「体験型1Day研修 2019」を実施しました!

 5月15日、長野県信濃町の黒姫にあるC.W.ニコル・アファンの森財団の「アファンの森」で1Day研修を実施。2011年から続くこの研修に今年も、全国から様々な部門の社員23名が参加しました。

 オカムラグループは自然共生と生物多様性に向けたアクションを「ACORN(エイコーン)」と名付け、社内外に活動の輪を広げています。
この中の社員向け体験型研修として「アファンの森1day研修」を実施。私たちオカムラの事業活動が、自然からの恵み(生態系サービス)に支えられていることを認識し、「生物多様性とはなにか?」について関心を持ち、理解を深めるとともに環境活動の行動を喚起することを目的としています。

 まずアファンセンターでの座学で、アファンの森財団の理事である野口理佐子さんから、「生物多様性とは」「アファンの森づくり」についてお話を聞きました。高度経済成長という開発の波の中で人間の都合を優先させてきた結果、荒廃し自然の生産能力を失い放置された森が生まれたこと、そしてアファンの森が30数年にわたり必要かつ適切な手をいれることによって、かつてあった自然と人間が共生する姿である里山を再生させたという説明から「生物多様性の必要性」や「森林の持つ役割」についての理解を深めました。

木のぬくもりあふれるアファンセンターでのレクチャー

 そしていよいよ、再生されたアファンの森に入っていきます。センターで学んだことを具体的に森の中で説明を聞き、自身の五感で体感することは強く印象に残りまさに「腑に落ち」ます。

 ここで、自然から受ける恵を実感したのは山菜です。この時期、たくさんの山菜があちこちにでています。タラの芽、わらび、コシアブラなどなど。都会ではあまり目にすることのできませんが、実際に森の中で臭いをかぐ、かじってみると驚いたことにとてもやさしい香りや手触りです。例えば山椒にしても鼻を突くようで“ぴりり”とした刺激ではなく本当にやわらかな感触です。これをお昼ごはんのお弁当をたべるときにその場でてんぷらにしていただきます。「日本人でよかった~」と心からの声があちこちで聞こえてきました。なんと贅沢なのでしょう!

人と自然が共生をし、成り立っていた「里山」で実際に説明を聞きながら歩く
”森の恵み”の山菜のてんぷら。おかわり続出!

 また、今回は 国内の針葉樹を利用した家具生産の観点から木材に詳しい社員による「木の基礎知識」のレクチャーもありました。木の特性を知ることで、オカムラならではの木製家具をお客様にご提案していき、国産材の利活用にもつなげていくという姿勢も共有しました。

間伐作業を体験。間伐は倒す方向を考えて切り込みを入れ始める

 毎回プログラムに入れている間伐体験では、戦後の拡大造林政策として植林をしてきましたが、いまでは手入れがされていなかった国有の人工林に入り間伐をします。散策をして来たアファンの森に隣接しているのですが、こちらは人の手が入っていないため鬱蒼とし、地面に光が届かず痩せ細った木が並び、花も咲いておらず生物多様性の失われた状態で放置されていたが、林野庁との契約で数年前からアファンの森財団が管理を始めた人工林です。間伐は人工林で国産材を「植える」→「育てる」→「使う」という正しいサイクルをつくっていくため不可欠な作業です。
この体験では、間伐や主伐について、またその利用について参加者各々が考える時間にもなっています。

オカムラがインテリアを協力したホースロッジで「木の基礎知識」を学ぶ

 そして、アファンでは切り出した間伐材の搬出に、森にやさしい手段である伝統技術の「馬搬(ホースロギング)」を活用しています。大きな専用重機を入れての作業が一般的ですが、それは森に負荷をかけていることになります。地表にもダメージが少なく、小回りもきき立ち木にに傷をつけることもほとんどないこの馬搬は数十年前までは日本各地の林業で当たり前におこなわれていたそうです。

 アファンの森では、この伝統技術の継承に取り組んでおり、この研修でもその利点を知り、実際に馬が働く姿をデモンストレーションで見学します。
この方法で搬出されて製作した「ホースロギングファニチャー」の“KURA”、“trot”は馬搬を体験したあとに見ると感慨深いものがあります。

 ちなみに、アファンでは森の維持管理が間違っていないか、「トンボに聞いている」そうです。もちろんトンボはしゃべりません。どうやって聞くか?それは、生息数や種類を地道に観察、数えるなどして彼らの“声”を聞いているそうです。

 短い時間での研修ですが、なかなか体験することのできないことばかりです。
研修後のアンケートにも、「社内でこの体験をする人がもっと増えるといい」という声が聞かれます。

 今回の研修で得たことが、社員一人一人の日々の生活や職場の業務に生かされるものと思います。

幸運にも、巣から出ているフクロウの子を見られた

 

[文 ACORN編集部]

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