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環境出前授業 ~自分たちにできることを考え、実行する気づきの場

  オカムラグループでは、持続可能な社会の構築に貢献するために、ものづくりや環境への取り組みなど企業として蓄積してきた経験を活かしながら、次代を担う若者の教育に取り組んでいます。

 2007年から従業員が講師となり、小学校での環境出前授業を実施しています。(2020年3月現在:延べ75校、6,000名に実施)

■授業のテーマは「3R」と「日本の森林について考える」

 授業では、毎日子どもたちが使う一番身近な学校用の机やイスを題材に2つのテーマで授業をしています。一つは3R*1をテーマに「ものを大切に使う心」を養う授業です。机やイスはどんな材料からできているか?また、その材料はどこから運ばれてきているかを考えます。
 *1:Reduce(発生抑制)、Reuse(再使用)、Recycle(再資源化)

 もう一つのテーマは、生物多様性保全と森林資源の持続可能な利用をめざす取り組みについて、自分たちのできることを考える授業を行っています。

 どちらのテーマでも、毎日なに気なく、時にはちょっと乱暴に扱っている机やイスを改めて眺めてみるといろいろな課題があることに気づきます。材料は世界から運ばれてきていること。そしてその材料は“資源”で、使い続けるとなくなってしまう「有限性」のあるものだということを知ります。

 木、鉄、プラスチックの材料の石油。それぞれがこのままのペースで使い続けると、あと○○年でなくなってしまうでしょう?クイズで考えます。その答えにみんなびっくりです!(答えはナイショ)

  また生物多様性とはなにか?について、森林の持つ役わりを考えながら、自然や社会ではすべてのものに意味ある役わりがあり、「相互に関わりあい」支えあうことで成り立っていることを学びます。生態系が崩れてしまうと、私たちの生活も成り立たなくなります。自然環境の持続可能な活用の必要性を実感することにつながります。

■「植え・育て、使う」サイクルで森林を守る

 限りある資源を守るために、机やイスを作るメーカーである私たちオカムラがしている工夫を紹介しています。

 木、森を育てるためには林業の方がたくさんの手入れをされています。手入れの際に細い枝、間伐された木がでます。机に使われている板は、そういった木材を無駄なく使って作られています。よく見ると机の板は一枚の板ではなく継ぎ目や、何層にも重ねて“ミルフィーユ”のような模様が見えます。これが工夫の証拠。子供たちはしげしげと机の角を触ったり、時には裏側からのぞき込んだり。

 実際の材料を手に取って触れながら授業を進めます。「これも木?」綿にしか見えないような木の粉から家具ができるなんて!!

■さあ!机とイスを掃除してみよう!

 「3R」の授業では、世界の有限な資源で作られた机やイスを大切にする第一歩。きれいに長く使おう!を実践します。洗浄液で天板面を拭くと、あまりの汚さに悲鳴?が上がることもしばしば。机を拭き終わったら、椅子の背や座面もきれいにピカピカにします。中には、先生の机も掃除し始める子どももいます。

 綺麗になった机・イスを嬉しそうに撫でているところで講師が確認します。「今日の給食はおいしく食べられますか?」 すると全員もれなく「はーいっ!」毎日使うものに愛着を持つこと、ものを大切に使うことの重要性を理解してもらえ、私たちも嬉しくなります。

こんな座り方はしていませんか?正しい座り方を考えてみよう!

 今後も授業の内容の充実を図り、ものづくりを行う企業として、次代を担う子どもたちの環境問題への理解と環境意識の向上を促していきます。

 

☆廃材を使ったベンチ製作 木への親しみの心を育む「木育」

 2017年、環境出前授業を行った横浜市立戸部小学校で、子供たちから廃材を利用したベンチの修理をしたいので手伝ってほしいとの相談がありました。この支援を通じて学びの機会を設けました。家具の製作において木材を利用しているオカムラならではの特別授業として、木の特性、間伐材とは何か、家具として使える木・使える部分、本来の家具の作り方などについて授業を行いました。また、企業としてコスト・効率・環境面を考慮した上でものづくりを進めていることについても紹介しました。授業で学んだことを踏まえ、子どもたちは半年間にわたり、安全で長持ちし、みんなが座れるベンチを考え製作を進めました。

 「木育」の推進において木や森林に対する子どもたちの理解や豊かな心を育むためには、知識の習得だけでなく、実際に木や木材に触れたり、それを使ってものづくりを体験したりすることが大切です。戸部小学校の児童が自分たちの手でベンチを作り、それを大切に使うことで、これからも木や森林に親しんでいくきっかけになったのではないかと考えています。

[文 ACORN編集部]

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