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【“木”になるマメ知識】マイナスイオンでヒーリング! 森が発するの“癒し”の秘密

 

物質はすべてプラスとマイナスの結び付きでできている。森林や小川のほとり、滝の周辺などは、プラスよりマイナスイオンが多く発生する。

自然というフィールドへ足を運び、自然を体感することの心地よさ。自然への回帰は、生きものとしてナチュラルに湧き出る心情でしょう。人間にとって自然はかけがえのないものであることはいうまでもありません。多彩な魅力を持つ自然ですが、ここではマイナスイオンに着目してみます。

「マイナスイオンをたっぷり感じてリフレッシュ!」「マイナスイオンで心と体を癒す!」。森林の中や小川のほとりなど、ちょっとした自然環境に触れるとき、こんなフレーズはよく聞かれます。でも、マイナスイオンってそもそも何? 本当に癒し効果があるのでしょうか? 知っているようで知らなかったマイナスイオンの世界を探究してみましょう。

森を歩けば気分爽快、ストレスも霧消!

マイナスイオンって何?

イオンについては、多くの人が中学生の理科で基本的な知識を学んでいると思いますが、ここでちょっとおさらいを。

物質を小さく分けていくと分子となり、分子は原子で構成されています。例えば、水はH₂O。水素原子(H₂)と酸素原子(O₂)がくっついてH₂Oという水の分子になっていることは誰でも知っています。では、なぜ水素と酸素が結合できるのでしょうか。

厳密に化学的解説をするとややこしいのですが、単純にいえば、正の電気を帯びた水素と、負の電気を帯びた酸素が引き合うから。このような電気を帯びた原子や分子のことを、それぞれ「プラスイオン」「マイナスイオン」といいます。

「マイナスイオンを浴びて」などというとき、その場合のイオンは、空気中に存在する負の電気を帯びた、主に水の分子の集りを意味しています。ひとつの水の分子の大きさは1000分の1mm程度の極小サイズ。要するに、ほんのわずかな負の電気を帯びた微粒子が、いっぱい空気中を漂っているということです。

ちなみに、マイナスイオンは和製英語。通常はネガティブイオンなどと呼ばれます。

森林は木々が呼吸し、霧のような水滴を発生させていることから、マイナスイオンにあふれている。

森の中にマイナスイオンが多いのはなぜ?

多くの木々が呼吸する森の中はマイナスの電気を帯びたイオンに満ちています。特に滝や小川の近くなど水が激しくほとばしるところでは、マイナスイオンが多く発生します。というのも、元素にエネルギーが加わると不安定な状態となり、イオン化するからです。水が撥ねて急激に水滴が飛び散ると、大き目の水滴についてはプラス側に帯電して落下し、一方霧のように微粒化した極小の水の粒子はマイナス側に帯電します。それにより、周囲の空気もマイナスに帯電していきます。

通常、私たちが生活している周辺の環境では、マイナスに帯電している分子量は1立方cmあたり0~数百程度。それに対し、水しぶきの多い場所の分子量は1立方cmあたり3,000~6,000、状況によっては1万を超えるともいわれます。こうした現象は、1892年にドイツのノーベル物理学者であるフィリップ・レーナルト博士によって発見されたことから、レーナルト(レナード)効果とも呼ばれています。

森林は、木自体の呼吸によって霧のような水の微粒子が発生しやすい環境です。そのため、付近に滝や小川がなかったとしても、マイナスイオンが多くなるといえるわけです。

プラスイオンとマイナスイオンが人に与える影響

自然界は、通常プラスとマイナスのイオンのバランスが保たれています。ところが現代人の生活は、携帯電話やパソコン、各種の家電製品に囲まれていることから、生活圏でそのバランスが崩れています。また、大気汚染や紫外線、新建材、さまざまな化合物質などにより都市部はプラスイオンがあふれ、マイナスイオンが不足しているともいわれます。

プラスイオンは、“プラス”という呼称のイメージとは裏腹に、人体によい影響を及ぼしてはくれません。その程度にもよりますが、呼吸によって空気中のプラスイオンを体内に多く取り込み続けると、血液は酸性に傾き、免疫力も弱めていきます。

一方、マイナスイオンは人体を活性化させる方向に作用します。空気中のマイナスイオンは、呼吸とともに人間の皮膚の電気抵抗の小さい部分から自然に体内に取り込まれていきます。すると心身がリラックスし、新陳代謝も盛んになってきます。また、脳からのα波が増して、快適な気分も誘い出してくれるといいます。ほかにも、自律神経の調整、血圧降下や快眠、細胞活性、疲労回復など、さまざまな効果が謳われています。

森の癒し効果はやっぱり見逃せない

ただし、こうしたマイナスイオンの利点については諸説あり、なかには否定的な意見もあるようです。問題は、マイナスイオンの効果を証明する科学的なデータが少ないということ。つまり、どれほどの量のマイナスイオンを、どれほどの時間浴びる(または呼吸する)ことにより、人体の機能がどう変化したかといったような、数量的な治験データ、医学的エビデンスがまだまだ足りないのです。

一時期、マイナスイオンを発生する電化製品が話題になったこともありました。でも、やはり根拠不足もあり、そうした製品がさも健康によいかのような広告のキャッチコピーなどはNGとされています。

ただし、科学的データが不足しているとはいえ、森の中や小川のほとりで過ごしていれば、やはり気分爽快になってくることは間違いありません。人間には自然を求める本能があります。目に入る景色、自然の音、風のそよぎなど人の五感を通じた精神的なヒーリング効果、セラピー効果なども、特に都会人にとっては見逃せないのではないでしょうか。家の中でマイナスイオン発生器を前に過ごしていても、自然の中の気持ちよさは得られませんよね!

マイナスイオンに関する蘊蓄はさておき、今週末はぜひ森へ、小川へ、滝や溪谷、自然の中へと出かけませんか! まずは自然の中で実際に体感してみましょう。

水が撥ねるときのエネルギーが元素を不安定にさせ、電荷を生じさせていく。大きな水滴はプラス、霧のような微小な水の粒にはマイナスの電気が帯電する。

[文 ACORN編集部]

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