Story

馬の力で森をつくり、守っていく。【美馬森 Japan 八丸健】

—般社団法人 美馬森 Japan 八丸健氏

 

 私たちは、人と馬が共存できる地域をつくり、雇用創出や観光振興も図るプロジェクトを進めています 。これは単なる牧場をつくる話ではなく、「生産の場としての森を復活させ、馬と人が働く森と、街をつなごう」という構想のもと、宮城県東松島市で活動を行っています 。

 牧場と森がひとっになるよう森を復活させる。そのためにはまず 森の整備が必要でした。そこで私たちは迷わず馬搬を用いました。昔ながらの手法です が、環境への負価が少ないというのが一番の 理由でしたね。そして、林道の整備や馬 搬による間伐材の搬出を行い、馬や馬車で森を巡る散策路などをつくり出してきました。また、この 牧場は住居地に隣接しているため、高齢者世帯や牧場で働く人が住める居住施設を持つ牧場にしようという計画もあがつています。

 森と牧場を一体化させて活用し、休験型観光やホースセラピー、環境教育などを行ってい く 。このような 見える形での活動も実現してきましたが、このプロジェクトで最も重視しているのが馬と人との関わり、馬が持つ癒しの力です。馬とのふれあいは、子どもには命の尊さや、生き物を慈しむ喜びを体験的に知るよい機会です。また、高齢者や心に傷を負う人には、心身の回復を促す効果があります 。これからも、まだまだいくつ ものハードルがあるとは思うのですが、この地で馬と一緒に働き、暮らす人が、さらにこの場所を訪れる人が、ここに居るだけで心から元気になれる、そんな森づくりを目指していきたいと思います 。

2014年12月発行 HORSE LOGGING FURNITURE「trot table」カタログより

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