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木で“ものづくり” 伐採~製材編【国産材活用シリーズ】
日本の人工林を健全にする国産材活用として、樹木を建材や家具材として活用するプロセスを紹介するシリーズを連載します。
今回は 樹木の伐採から製材までのおはなしです。
木材の原料となる原木は人工林全体の伐採計画に合わせどの木を伐りだすか選木されます。一般的に樹木は水分の吸い上げが少なくなる秋の彼岸から春の彼岸の間に伐採するのが良いとされています。選木されて伐採された原木は、枝や先端部を取り除き山から搬出しやすい大きさ、一般的に3m~4mの長さでカット(玉切り)され貯木場や製材所へ運ばれます。
貯木場や製材所では丸太の状態で一定期間自然乾燥します。その後だら挽き・大割りといわれる製材をして再度天然乾燥します。ここまでは建材でも家具材でも同じプロセスになります。
ところで丸太には“背”と“腹”があるのをご存知でしょうか。
原木が育ってきた森の環境によって、曲がりや年輪の密度とその偏りが違います。傾斜地に育った木は天に向かって伸びていく際に根元から曲がりながら上を目指します。平地の場合でも太陽の当たり方で年輪の密度がかわります。日当たりが良い側の年輪幅は広くなり、日影になる側の年輪は密度が高くなります。
このような年輪の幅が広い方が“腹”で狭い方を“背”と呼ばれています。
木材にする際には、年輪の密度が材質に影響するので、“背と腹“を見分けて、木材の用途を決めて製材を行うことが重要になります。“背”側に反りやすいので、建物の梁に使う場合は、“背”を上にしてたわまない様にします。
ここで紛らわしいのですが、木材になると樹皮側を“木表”と呼び、芯側を“木裏”と呼びます。この場合は木表側に反りやすくなります。“背と腹“と同義にしている地域もあるので更に混乱しますね。
丸太をどのように挽くかは、木材の用途によって変わってきます。
丸太を輪切りにした状態、いわゆるバームクーヘンのような模様が見える状態を木口と呼びます。木口に対してどのように板材にするかで、板材の種類が変わります。
この工程は「木取り」と呼ばれ、木目の出方や性質などに関わり、木材の用途を大きく左右します。
この工程では丸太の皮をむき、節の有無なども考慮しながら、なるべく無駄が出ないように板材や角材を作り出します。
そして家具材、建材材など用途によって木材の「木取り」が違います。
次回は木取り後の工程「木材の乾燥」についてです。
文/ACORN編集部・きづくりラボ