Story
森には人間の汗と知恵と愛情が必要。【C.W.ニコル】
一般財団法人CW.ニコル・アファンの森財団理事長C.W.ニコル氏
信州の黒姫に住みはじめた30年も前から、森のことを憂い、どうすべきかを考えてきました。「森のことをどうにかする?」「自然に任せたほうがいいんじゃないか?」そういう考え方もあります。けれども、私が購入した当時のアファンの森は、すでに90%は人の手が入り、そして放置され荒れ果てていました。昔は、雑木林、里山と呼ばれた森と植えっぱなしのスギやヒノキの森でした。そういう森は、人間の手が入らないとダメになってしまいます。タイムスパンの長い庭と同じように、森には人間の汗と愛情と知恵が必要です。でも、40年くらい前から、人間は森の手入れをし なくなってしまっているのです。
2012年からアファンの森に隣接している国有林と協定を結び整備をはじめています。その50年くらい手入れも調在もまったくしていないスギ林の間伐を今年も行いました。これは適当に行ったのではな くて、京都大学の名誉教授、竹内先生に協力をお願いしました。「どんな木を伐るかではなくて、どの木を残すべきか」と。 そして、そういう森の間伐をはじめてもうひとっ分かったことがあります。今まで見ることのできなかった30種類以上の植物が林床に生えてきたことです。ですから、そこから何が起こるかを、調査し続けていかなければなりません。 森は生きている。だから、「森がわれわれに教えてくれる 」のだと、私は思うのです。
2014年12月発行 HORSE LOGGING FURNITURE「trot table」カタログより