Story
南会津の特色を生かして馬搬を活用。【みなみあいづ森林ネットワーク 芳賀沼伸】
NPO 法人 みなみあいづ森林ネットワーク 芳賀沼伸氏
私は10年以上親交のあるニコルさんから馬搬振興に関するお話をうかがう機会があり、とても興味が湧いて馬搬の普及に向けてさまざまな活動や計画を進めているところです。私たちが活動を行っている福島県の南会津では、馬搬は20数年前には廃れてしまい、最近まで誰もその担い手がいなかったのが現状でした。ただ、イベントやものづくりなどを通じて馬搬を積極的にPRしていけば、ゆくゆくは南会津の林業再興や地域活性化にもつながっていくと信じ、活動を続けています。
現在、私が事務局長を務める「NPO法人みなみあいづ森林ネットワーク」は、林業に関係する人々で立ち上げた林業再興のネットワークです。ここを中心に馬搬のPRに向けて「南会津馬搬フェス」というイベントを毎年実施しています。初開催のときには、馬搬から生まれた「Horse Logging Furniture」を紹介したり、ニコルさんや岩間さん、岡村製作所にも参加していただいて講演会やパネルディスカッションを実施しました。もちろん馬搬の実演も行い、子どもたちをはじめ、たくさんの見学者に喜んでもらうことができました。神奈川や岩手など県外からも多くの方に来ていただき、2日間で延べ200人以上が来場されて、見事成功を収めることができました。
第2回目は、遠野と盛岡から2頭の馬を連れてきて、遠野の伝統的な馬搬の搬出方法と、悔外の先進的な運搬方法を組み合わせた新たな試みを行いました。観光で訪れた方にも馬や森林、木材とふれあう機会をとどけられるこのイベントは、できる限り長く続けていきたいですね。
ほかには、馬搬による木材調達だけでなく南会津のものづくりとつなげていく計画を進めています。馬搬材によるログハウスづくりや、馬搬の家にマッチした家具づくりなどを行ってい<予定です。製品化にするのが厳しい木材は、薪やチップなどへの活用も考えています。さらに郷土の特色を活かして、会津の漆裕りや木地師といった伝統技術と融合させた木製の食器づくり、木製玩具プランドとのコラボレーションも計画中です。
すでに、岡村製作所、アファンの森と協働で、地元で伐り出した材を使った家具づくりを行い、「Horse Logging Furniture」の第2弾となる「trot table」をつくり上げました。馬搬で運んだ間伐材を活かして新しい価値を創り出す。そういった活動を続けていくことで、馬搬の普及はもちろん、林業再興や南会津の地域活性化にもつながつていくとうれしいですね。
2014年12月発行 HORSE LOGGING FURNITURE「trot table」カタログより